創作童話6




こぐまのミンスク

こぐまのミンスクは、青い色が大好き。
コップも青、お皿も青、クッションも青。
ミンスクのお部屋にあるものは、みーんな青い色ばかり。

「でも…」とミンスクは自分の体を眺めて思いました。
「ぼくの毛は茶色。茶色は好きじゃないんだ。体じゅう、青い毛だったらいいのに」

ミンスクは、青い絵の具をたくさん持ってきて、お風呂のお湯に溶かしました。
真っ青なお湯ができました。
「うん、これでいい!」
ミンスクは、青いお湯にポチャンと飛び込みました。
頭までザブンとつかりました。
「わーい! 青くなった! なんてすてきなんだ!」

ミンスクは鏡を見て大はしゃぎ。
うれしくて、楽しくて、壁や床まで、みーんな青く塗ってしまいました。

トン、トン。
だれか来ました。
「ミンスク、いる?」
「あっ、お隣のヒヨちゃんだ」
ミンスクは、ひよこのヒヨちゃんと大の仲良し。
「かっこよくなったぼくを見て、ヒヨちゃん、どう思うかな」
ドキドキしながら入り口のドアを開けました。

「あれ、ミンスクいないの?」
「え? ぼく、ここにいるよ」
「へんねー? 声はするのに」
ヒヨちゃんは、不思議そうな顔をして帰ってしまいました。
「あーあ、行っちゃった。せっかく、かっこいい青いこぐまになったのに……」
ミンスクは悲しくなりました。

トン、トン、トン。
「あっ、ヒヨちゃんが戻ってきたのかな」
ミンスクは急いでドアを開けました。
ヒヨちゃんとうさぎのミミちゃんが立っています。

「また来てくれたんだね」
すると、ヒヨちゃんがミミちゃんに言いました。
「ほらね、ミンスクいないでしょ?」
「ほんと。声はするのにね」
「ここにいるよ! ぼく、ミンスクだよ!」
ミンスクは大きい声で言いました。
「おかしいね。声は聞こえるのに、ミンスクがいない」
ヒヨちゃんとミミちゃんは、部屋の中を見回してから行ってしまいました。

ミンスクは泣き出しました。
「こんなにかっこいい青いこぐまになったのに、どうして気がついてくれないの?」
悲しくて、寂しくて、「えーん、えーん」と泣きました。

しばらくすると、まただれか来ました。
ドン、ドン、ドン。
ミンスクは、しぶしぶ立ち上がりました。
「どうせ、みんな、ぼくのことがわからないんだ」
泣きながら、そーっとドアを開けました。
ひよこのヒヨちゃんと、うさぎのミミちゃん。黒猫のニャン太とかえるのケロくん。
みんな目をまんまるくしてミンスクを見つめました。
「ミンスク!」
「心配したのよ! どこに行っていたの?」
「えーっ、ぼくは、ずーっとここにいたのに。どうして見えなかったの?」

どうしてだかわかりますか。
壁も青、床も青、ミンスクの体も青。
何もかも青く塗ったので、ミンスクが見えなくなっていたんですね。
でも、「えーん、えーん」と泣いたので、絵の具がとれて、もとの茶色のこぐまになったのです。

「わーっ、よかった!」
みんなで大喜びで抱き合いました。
「ミンスクったら、ずいぶんいたずらしたのね」
「みんなで大掃除をしようよ」

ミンスクは、みんなの顔を見て思いました。
ぼくは茶色、ヒヨちゃんは黄色、ミミちゃんは白、ニャン太は黒、ケロちゃんは緑。
みんな、そのままだから、いいんだね。
だから、みんな大好き!



おわり






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